山本郁栄プロフィール
1945年 愛知県生まれ。 日本体育大学に入学と同時にレスリングを始め、7年目の1972年ミュンヘンオリンピックの日本代表となる。 その後、指導者としてクラブチーム、オリンピックコーチに。またアメリカ留学で学んだテーピングを日本に持ち込み、スポーツ医療にも貢献。現在、日本体育大学スポーツ医学研究室教授。
郁栄さんの子育ての姿勢
- のっぽくん
- 子供はとにかく褒めろ、という育て方をされたそうですね?
- 郁栄さん
- 「自分が怒られて理解するより、褒められたときのほうが“よし、わかった”と前向きに思えたから、それを実践しただけです。
ただし、褒めるというのは、難しいことです。褒めて育てろというと、勘違いして、甘やかして育てることだと思ってしまう人もいますが、まったく違うのです。
よく子供を見ていないと、子供の心に響く、褒め方というのはできないものです」 - のっぽくん
- 具体的には、どのように褒めて育てられたのですか?
- 郁栄さん
- 「レスリングの練習で、上手くいったとしますよね、そのときに、その場で、すぐに褒めてあげる。しかも全身を使って。手を叩き、時には頭を撫でたり、ギューッと抱きしめることも。
これは心の底から“よくできた!”と思わないとできません。演技では、誤魔化しているのが、子供には、すぐわかってしまいますから。だから見ている方も、ある意味、真剣でなければ、褒めることができないのです。
褒めると、子供は喜びます。とくに、二女の聖子は、練習中にいい動きをしたことを褒めると、その帰りの車のなかでも、“ねえ、パパ、どこが良かったの?”と、聞いてくる。そのときにも、“あれは本当に良かった…”と、さきほどと同じく丁寧に褒めてあげる。
しばらくすると、“ねえ、どこが良かったの?”と、また聞いてくる。それでも、先ほどと同じように、丁寧に褒めていましたから」 - のっぽくん
- 褒めるというのも大変ですね。
- 郁栄さん
- 「子供は大人と違って、得や欲よりも、嬉しい、楽しい、気持ちいいが優先されます。とくに親が認めてあげると、それは大喜びでやりますよ。
親は、ある程度、褒めて導いていくことも必要です。だから、レスリングでも勉強でも、なんでもやらせてみる。そして褒めて、褒めて、どんどんやらせてみる。そこから、キラリと光る、何かが見つかるはずです。子供が嫌々だったり、親が無理やりだったりでは、そのキラリと光る部分が出てこないでしょう。」 - のっぽくん
- なるほど、山本家の子供たちのキラリと光るものがレスリングだったわけですね。しかし、なかなかそれを見つけるのが難しいのでは?
- 郁栄さん
- 「見つけようとしない、気づかないだけです。家庭には、親が子供を見る時間は、溢れています。当然、子供は放っておいたら、何が好きだと聞いたら、遊びが好き、テレビが好き、ゲームが好き、となってしまいます。
いろんなことをやらせてみなければ、わかりません。ピアノでも、絵でも、体操でも、なんでもいい。そこから、キラリと光るものを見つけてもいい。コツコツやるのがタイプだ、細かい作業を嫌がらない、というような個性だって見えてくるはずです。
それを見抜いて、伸ばしてあげるのが親の役目だと思っているのです」 - のっぽくん
- なるほど。おっしゃることは、極めてシンプルで、わかりやすい。しかし、それを実践するには、真摯な親の姿勢が問われますね。
- 郁栄さん
- 「子育ては大変な作業です。いつでも真剣に接していなければならないわけですから。私は褒めもしましたが、人間として最低限、守らなければならない、約束を守る、礼儀、言葉遣いなどは、厳しく叱って教えてきました。ときに感情的になったこともあります。
そのときどき、真剣に、子供と向き合ってきたことは事実。と、いいながらも、ある意味、子育てを、楽しみながらやっていたことも事実です。楽しみながら、前向きな姿勢であれば、見えてこないものが、見えてくることもあるのです」 - のっぽくん
- 【のっぽくんインタビューメモ】
待ち合わせ場所は山本郁栄さんが行きつけにしている近所の居酒屋さん。
正直、その暖簾をくぐったとき、寂れた一杯飲み屋さんという雰囲気でした・・・・・・。
そして現われたのが、郁栄さん。少しどころか、かなりの強面で、ついつい、緊張してしまいましたが・・・・・・。いざ、美優さん、kid徳郁さん、聖子さんたち子供のお話となると、目を細めて、優しく語ってくれました。
そんな郁栄さんの常に子供に向き合っている真摯な姿勢には、溢れる情熱と愛情を感じました。
心を開いて、子供たちが発するわずかなサインや個性を掴み、それを見守り、伸ばしていく──。
これはなかなかできることではありません。
しかし、郁栄さんの子供に対する思いを知れば、なにかヒントがあるような気がします。
インタビュー目次
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