絵本で子どもの薬嫌いを克服⁉︎〜服薬コンプライアンスについて〜

薬を飲むのに抵抗を示す子どもは多く、手を変え品を変え、何とかして飲んでもらおうと奮闘する親御さんは少なくないのではないでしょうか?
しかし、薬は体内に入れば良いと言うわけではなく、タイミングや飲み方が効果に影響を与える場合もあります。
そこで今回は、できるだけスムーズに子ども達に適切な形で服薬してもらうための対策についてご紹介します。
薬を食品に混ぜることにはリスクもある
2015年に行われた「子どもの薬に関する調査」によると、3歳以上の子どもの約8割が薬を飲むのを嫌がるという結果になっています。
嫌がる理由としては、薬の苦味や匂い、粉薬のざらつきや独特な甘さなどさまざまです。
特に、粉薬を苦手だと感じる子どもは多く、飲ませるためにゼリーやアイスクリーム、ジュースなどに混ぜる親御さんも少なくありません。
こうした対策をすることで薬が飲みやすくなる場合もありますが、実際には次のようなデメリットもあります。
- (1)繰り返し同じ食品に混ぜる事で、その食品を嫌いになる
- (2)オレンジジュースなどの酸性の飲み物混ぜると苦味がより強くなる薬もある
- (3)食品と混ぜる事で薬の効果に影響が出る場合もある
したがって、処方された薬はできる限りそのままの形で服用することが大切です。
絵本の読み聞かせにより服薬に対する困難が減少
東京大学では、服薬コンプライアンスを向上させる新たなアプローチとして心理的側面に着目し、絵本を用いる事で薬を飲むことに対してどのような変化が起こるかを調査しました。
具体的には、3〜6歳の子どもがいる保護者23組を対象に、絵本の読み聞かせ前後で服薬に対する困難がどれほど変化するかを検証しました。絵本の内容は、主人公であるウサギのポポロンが病気になった母親を助けるため、薬をもらう冒険に出るというものです。
この絵本を読み聞かせた結果、服薬に対して困難を感じる保護者の割合は78.3%から34.7%に減少し、さらに、64.3%の保護者が、絵本を通じて薬を正しく服薬する重要性を実感したと回答しました。
また、絵本に登場するキャラクターを好きになった子どもほど、積極的に薬を飲むようになったことも分かっており、「好き」という前向きな感情が服薬の継続に対しても良い影響を与えた可能性があると考えられています。
今後は、絵本の認知度を高めてすべての薬局に1冊ずつ配置する環境づくりを目指す予定です。
薬を嫌がる子どもに正しく服薬させることは、親御さんにとって負担になりやすい部分ですが、こうした絵本の活用はもちろんのこと、困った時は薬剤師に相談して効果に影響のない対策を一緒に考えましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3722
MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子