遊佐雅美プロフィール

悔しさをバネに世界の頂点へ

のっぽくん

授業中の先生の一言が将来を決めたわけですね。

とき子さん

「そうですね。そこはやはり素直だと思います。授業ですから多くの生徒も聞いているわけです。しかし、雅美の心には、その言葉が響いた。人のために役立ちたいという思いに、響いたのかもしれませんが、そんな一言を受け入れられるアンテナを広げていたのでしょう。
しかし、ライフセーバーになるためには、泳げなくてはいけない。小学校時代に水泳教室に通っていても25ｍがやっと。ライフセーバーになるためには、400ｍを８分以内で泳げないとなれない。初級の資格試験でも落ちてしまったそうです。」

のっぽくん

専門学校で出会ったライフセーバー。その道に突き進む、雅美さんを見ていて、どうでしたか？

とき子さん

「ライフセーバーになりたいということを話してからは変りましたね。
毎朝、授業が始める前の７時から８時45分まで、月、水、金曜日が筋肉トレーニング。火、木曜日は水泳、土日が海でレスキュー技術を学んでいましたね。
それまでの陸上競技も、真面目に練習をしていましたが、ライフセーバーになる、という明確な目標ができたことが、雅美にとって良かったのでしょう。目の輝きが違うというか。一心でしたね。
ライフセーバーの初級の試験に落ちたのが悔しかったのでしょう。１日３０００Ｍぐらいは泳いでいたようです。」

のっぽくん

ライフセーバーになるために、それほどの努力があったのですね。しかし、そのライフセーバーになってから、２年後の94年には世界選手権で頂点に立った。これは快挙ですよね。

とき子さん

「いえ、実は、私、あまり知らなかったんですよ。しかも世界選手権に出場するときに、説明会があり“あーこんなことをしているんだ”と、ようやくライフセーバーのことがわかったくらい。
それでも、世界一というものが、どれだけのものか、よくわからなかったんですよね。
なにしろ、家にいるときは、疲れ果てているからか、寝てばっかり。だらーんとした姿しか見ていなかったもので……」

のっぽくん

砂浜では精悍な姿を見せている雅美さんですが、家ではそんなにダラリとされているのですか？

とき子さん

「本人にしてみれば、オンとオフがあり、家での生活は完全なオフなのでしょう。いつも寝ているか、冷蔵庫を漁っている姿ばかり見ていましたね。一流の競技者は、普段の生活も厳しさがあると思ったので……。
しかも、毎年７月、８月の海水浴シーズンは、本業のライフセーバーとして、砂浜でのパトロールがあるので、まったく家にはいない。頑張っているのはわかっていましたが……」