物理学者を目指していた学生時代に、金子達仁氏のスポーツライター塾に出合う。金子氏の指導やサッカーの魅力に引き込まれ、スポーツライターになることを決意。ライター塾を修了後、オランダとドイツで6年間ライターとして活躍。現在は日本を拠点に活動しています。
この仕事の面白さはどんなところですか?
「一番の魅力は、取材を通して一流の選手や監督と出会えることですね。彼らと接する中で最先端の知識が得られますし、自分が記事で提案したことが彼らにも伝わり、その提案が現実となってチームが変わるなんて嬉しい事もあり得る。チームに間接的に関わっていることが実感できる時はとても嬉しいですね。 あとは、やっぱりW杯! W杯は世界中が注目する特別な大会ですし、あの熱気あふれるスタジアムの雰囲気は現地でしか味わえない。4年に一度のご褒美だと思ってます。」
どんなお仕事?
「スポーツライターの仕事は大きく分けると2種類あって、1つはウェブでの発信。ここでライターに求められるのはとにかく「速さ」。細かい分析というよりは、簡潔な結果報告が求められます。それに対して雑誌では、より分析的で踏み込んだ記事が求められることが多いので、ライターの実力や個性も必要になってきます。欧米に比べるとサッカー雑誌の数も少ないので、実力がないと淘汰されてしまう厳しい世界ですが、スポーツ好きな人にとっては、やりがいの大きい仕事だと思いますね。」
どんな力が必要?
木崎さんの著書
左→『世界は日本サッカーをどう報じたか』
右→『サッカーの見方は一日で変えられる』
「最も必要なのは、文章を書く力。僕はスポーツライターの金子達仁さんの下で勉強して、原稿に対するプロ意識とか技術とかを学んだけれど、書く力は本当に重要だと思います。伝えたい想いがあっても表現力が伴わないと伝わらないですからね。あと、もう1つ必要なのがコミュニケーション力。スポーツライターは選手への取材もするので、誰とでも上手に関係を築く力が必要になってくる。取材の時に深い話まで聞けるように、選手とは日頃からコミュニケーションをとるよう心がけています。」
子どもの頃にやっておくべきことは?
「スポーツライターに限らないことだけど、その分野の第一人者になりたいのなら、必要ないと思われるような教養も身につけることが大切だと実感してます。子供の頃って何でこんな教科を勉強しないといけないんだと思いがちなんだけど、今思うと必要ない教科なんて1つもないですね。一定のレベルの高さに自分が行くと、教養の必要性をすごく感じます。それと「本物」に触れることもとても大事なこと。サッカー好きな子には、プロの試合をぜひ生で見て欲しいですね。あとは、読書。100冊浅く読むよりは、気に入った本を何度も読む方が意味があるんじゃないかな。どのあたりを面白いと感じたのかを意識して読み返すことで、分析力や表現力を磨くことにつなげられると思います。」